ということでかっこいいサボテンの和名ランキング2020の後編です!
後編は6位から1位まで!
前編はこちら
それでは!
スタート!!!!
6位.砂王女【さおうじょ】
Eriosyce islayensis
By Michael Wolf – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
旧イスラヤ属の代表種(Islaya krainziana)である砂王女。10位にランクインした「夜の女王」と同様、荒々しいサボテンの中にありつつ、女性を表す珍しい和名を持っています。和名を見てから写真を見ると、アレオーレ部分のふわふわの綿がまるで、優雅な王女様の「ファー」か「ドレス」のように見えませんかね?(王女様がファーをつけるかはよく知りませんが)。南米のとても乾燥した地域のサボテンで、まさに砂の女王という感じがします。また、コピアポアの黒王丸の比較的近く(?)にいますので、王様と王女様って感じでいいですね!
ちなみにイスラヤ属ですが、現在はネオポルテリア属かと思いきや、実は現在はエリオシケのようです。イスラヤ属にあった和名(伊須羅玉とか)は、ぜんぶEriosyce islayensisにまとめられたっぽいです。イスラヤ属には、怪人鉄塔(Islaya brevicylindrica)という珍和名などもありましたので、残念ですね。
6位.振武玉【しんぶぎょく】
Stenocactus multicostatus
By Daderot – Own work, CC0, Link
振武とは武力を振るって威力を示すことらしいです。上の写真を見ていただいてもわかるとおり、恐ろしいまでの威力が感じられるサボテンです。私にとっては、まるで武士が刀をバッサバッサと切ってるようなイメージです。あとなんだかんだで「〇〇玉」という和名は、サボテンらしくて好きです。
ちなに、日本で振武玉といえば、Stenocactus lloydiiという学名で、上の写真のような刺が異常に長いステノカクタス(エキノフォスロカクタス)というイメージなんですが、分類的にはどうやらStenocactus multicostatus(多稜玉/多縮玉 など)に合併されたようです。これはまた残念ですね。ちなみに、Stenocactus multicostatusは前回の和名ランキングで「千波万波」として12位に入っていました。
4位.天狼【てんろう】
Pediocactus sileri
By USFWS Mountain-Prairie – Siler pincushion cactus (Pediocactus sileri), Public Domain, Link
サボテン界では難物中の難物で有名な天狼。その難物具合はずば抜けてる印象があり、まさに天を翔ける他の種とは群れない一匹狼のよう(かつてはUtahia属で一属一種でしたし)。気難しくて気高いイメージがある「狼」という言葉がサボテンに合っている気がします。なお、天狼とは中国語で、星の「シリウス」を指すようです。ちなみにシリウスは、おおいぬ座で最も明るい1等星の1つで、太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星であります。これもまたこのサボテンにふさわしい名称ですね。というわけで、本当にお星さまにならないように栽培したいところです。
3位.猩々丸【しょうじょうまる】
Mammillaria spinosissima
By Dornenwolf from Deutschland – Mammillaria spinosissima, CC BY 2.0, Link
かつてこのブログでなんども書いてきた気がしますが、読み方は「たぬきたぬき丸」ではないです。猩々(しょうじょう)とは古典書物に記された架空の動物(いわゆる妖怪。下画像参照)。wikipediaによれば「能の演目である五番目物の曲名『猩猩』が有名である。真っ赤な能装束で飾った猩々が、酒に浮かれながら舞い謡い、能の印象から転じて大酒家や赤色のものを指すこともある。」とのこと。
Terajima Ryōan (寺島良安) – ISBN 4-5828-0466-7., パブリック・ドメイン, リンクによる
というわけで、この妖怪のことを知っていると、このサボテンの赤っぽいボディー、そしてひょろっと縦に伸びる姿を「猩々」と表現した理由がわかると思います。上の妖怪の絵をみてください。似ているでしょう?
豆知識としては、「ショウジョウ蝿」という蝿もこの猩々から来ているようです(赤い目を持つことや酒に好んで集まることから)。なるほどですねー。
2位.玉翁殿【ギョクオウデン】
Mammillaria hahniana f. lanata
By Leonora Enking from West Sussex, England – Mammillaria hahniana subsp. hahniana, CC BY-SA 2.0, Link
玉翁(Mammillaria hahniana)の長毛品種。”lanata”とは「羊毛のような」の意味らしいです。そして、もとの種、「玉翁」はタマオキナと訓読みに読むが、毛が長くなると、語尾に”殿”がつき、ギョクオウデンという音読みになる。あまりにもかっこよすぎる和名トランスフォームであります。なお、「サボテン科大事典(266属とその種の解説)(1988)」によりますと、玉翁の品種に玉翁殿というものは存在せず、玉翁多軟毛変種は「白玉翁」とされています)。
前回の和名ランキングでもランキング入りした大仏殿や月宮殿もそうなのですが、「殿(でん)」という謎の言葉の響きは、とても重厚で、サボテンにピッタリだと思います。ちなみに、同じマミラリア属に翁玉(Mammillaria klissingiana)というこれまたややこしい名前のものもあり、しかもこちらはオキナダマではなく、オキナギョクらしいのでさらに注意。
「魔」と「天」と「竜」という、欲張りすぎたパワー型の和名。
名前も見た目もおどろおどろしい感じでいい感じ。
ご存知コピアポア属のアイコン的存在。WWEで言うところのデスバレー出身のアンダーテイカー。
伊藤芳夫先生も絶賛の和名。確かに赤くてかっこいい。横綱のよう。
確かに眠っているような見た目。同じ属に獅子頭(Thelocactus lophothele)という逆に荒々しい種がいるのも見逃せない。
1位.海王丸【かいおうまる】
Gymnocalycium denudatum var. paraguayensis
なるべく前回ランクインしたものは入れないと宣言したにも関わらず、やはりこれ以外には考えられなかったということで、第1位です!!!2連覇です!!写真を見てください!なんという海感でしょうか!ヒトデなのか、蛸なのか、アニサキスなのか、改めて考えるとなんだかよくわかりませんが、なんとなく海全体をひとつの玉にまとめたような見た目です!また「〇〇玉」と同様、「〇〇丸」という和名もやはりいいですね!唯一の欠点は「海王丸」でGoogle画像検索すると、船の写真がいっぱい出てくることです。
・・・
ということで、いかがでしたでしょうか。
いや~久々にいろんな本を読み返しましたが、やはり和名はいいですね!
私がサボテンにハマった理由も、和名の面白さがあったからという部分はあります。トレーディングカードとか発売されないですかねぇ???
というわけで、いつかは多肉植物編で記事を書きたいと思います(前回も言ってたが実現していない)!
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