ということで、英国はケンブリッジ大学のGregory ReevesらがNature 2022年2月10日号に発表した驚くべき論文です。
Monocotyledonous plants graft at the embryonic root–shoot interface
(WEB翻訳「単子葉植物は胚の根と芽の界面で接ぎ木する」)
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04247-y
その内容はもちろん、そのタイトルの通り、「単子葉植物でも接ぎ木が可能!」というものです。
えぇぇ~!す!すごいぃぃ!!!
※ こんなすごい論文、昨年話題になりました????私が知らなかっただけ???さすがNature。
・・・ということで過去の似たような記事はこちら
今まで単子葉植物(多肉的にはアガベとかアロエとかハオルチアとかみたいな種から発芽したときに双葉が出ないやつですな)の接ぎ木は、上記過去の記事のとおり、極めて難しいと言われてきていました。これは、単子葉植物には維管束形成層が存在しないからです。
サボテン、ユーフォルビアなどは双子葉植物であり、維管束形成層が存在するためこれが結合することにより接ぎ木が可能です。例えば下の写真。
パキポディウムなんかも同じく双子葉植物なので接ぎ木可能ですね。
今まで、そんな双子葉植物でしかできなかった接ぎ木が、なんと今回、単子葉植物でもできることがわかった!ということです。
これはすごいことです。
だって今までみたことないですもの!
アガベの接ぎ木とか!
チタノタをアメリカーナに接いだのとか!
ということで、詳しくは、論文を読んでいただければと思うのですが(お金がかかるかもしれません)、重要な点を抜粋しますと以下のとおりです。誤訳があったらすみません。
- 単子葉植物でも胚性組織を合わせることにより、接ぎ木ができる。
- 単子葉植物のうち、系統的に多様な9目にわたる数十の種で自家接ぎ木することができた。これらの種は、単子葉植物の3つの分類群(ツユクサ類、ユリ類、オモダカ類)におよび、パイナップル、バナナ、タマネギ、リュウゼツラン、アブラヤシ、ナツメヤシなどの重要な作物種が含まれていた。
- 接ぎ木された単子葉植物は、双子葉植物の接ぎ木の際と同じような遺伝子発現変化を示していた。
ということです。
「双子葉植物の接ぎ木の際と同じような遺伝子発現変化」ということは、サボテンなどの接ぎ木と同じように、例えば病気に強い種や成長の早い種を台木に使うことで、穂木にそれが影響するということだと思います。これはすごい。
そんで、いちばん重要なその具体的方法なんですが、TOEIC300点台の私の英語能力を駆使して論文を読む限り、以下のとおりです(相当短く要約しているので詳しくは論文で!)。
- 発芽後、数日もしくは成長が遅い種では数週間経ったやつを使う。
- 滅菌消毒した刃厚 0.1 mm の細いカミソリの刃などで胚軸(hypocotyl)を切断する。
- 切断された苗の半分を、滅菌した細い鉗子を使用してゆっくりと押し合わせる。
- 粘性を高めるために事前に 10 ~ 30 分間乾燥させた非常に少量 (1 μl 未満) の高粘度シアノアクリレート瞬間接着剤 (「Stick2 Gel Superglue」とか) を移植片接合部の外側全体に適用し、融合が起こるまで接触状態にする。
で、胚軸(hypocotyl)とはいったいなんぞやってことなんですが、いろいろ調べる限りおそらくここらへん(下画像)。とりあえず根と葉の間の僅かなところっぽいです。
手元にいい写真がなかったのですが、たぶん下写真の一番小さい白っぽいやつぐらいの根の上の部分・・・て感じですかねえ。たぶん。もしかしたらこの白い状態のやつでも成長し過ぎかもしれないです。ここらへんはよくわかりません。
ということで、歴史的な単子葉植物の接ぎ木システムの発見なわけですが、小さな実生苗を使うためかなり難易度は高そうですかね。
ということで私は今手元にアガベとかの種がないのでできないのですが、もし種が余っている方などは試されてみてはいかがでしょうか!
(人´∀`).☆.。.:*・゚
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