雑記

かっこいいサボテンの和名ランキング2020(前編)

雑記
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というわけで、サボテンのかっこいい和名ランキング2020年版なわけです!

 

 

神竜玉春雷福禄寿仁王丸天司丸烏羽玉竜眼翠晃冠・・・

サボテンの魅力のひとつに「和名」のかっこよさがあります。

今回は、そんなかっこいいサボテンの和名を私が勝手にかっこいい順にランキング付けしましたので発表します!

 

 

ちなみに6年ぐらい前にもやったことがあります。そんなかつての記事はこちら。

私が選ぶサボテンのかっこいい和名ランキング
神仙玉に、碧瑠璃鸞鳳玉に、雪晃に、鬼面角に、黒王丸に、魔剣丸に......etc サボテン・多肉植物の魅力の一つに「かっこいい和名」があります。今回は私が独断と偏見で選んだ「センスが良くかっこいい名前(サボテン編)」ランキングをお届けいたし...

 

ちなみに前回の優勝は「海王丸(かいおうまる)」でした。

 

今回の基本ルールは以下の通り。

  • なるべく、前回ランクインしたものは入れないようにしています。
  • なるべく、有名品種を対象にしています。レアサボテンにつけられた誰も聞いたことがないようなレア和名は、たとえかっこよくても除外しています。
  • 和名単独ではなく、そのサボテンにマッチしているかも大きなポイントです。
  • すべて私の独断と偏見にもとづくランキングです。

 

というわけで早速

スタート!!!

 

 


12位.紅鷹【べにだか】
Thelocactus bicolor subs. heterochromus

By Michael WolfOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

まずはみんな大好きテロカクタス(Thelocactus)の人気種です!和名「紅鷹」はもはや「魁!!男塾」に出てきそうなレベルのかっこよさですね!赤い服をきて空中殺法が得意そうな名前です。おそらく三面拳の飛燕と戦うでしょう。ちなみに「べにたか」ではなく「べにだか」と濁るのが正解っぽいです(「サボテン科大事典(266属とその種の解説)(1988)」より)。その名の通り赤い刺が特徴で美花種です(上の写真はそんなに刺が赤くないのですが、良い紅鷹はもっと赤いです)。学名は昔はThelocactus heterochromusだった気がしましたが、いつの間にか大統領(Thelocactus bicolor)の亜種になったっぽいです。ちなみに、紅鷹には「多色玉」という別の和名もあるのですが、かっこよさは天と地の差があると思います。紅鷹でいきましょう。



11位.帝冠【ていかん】
Obregonia denegrii

By ConsultaplantasOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

帝冠とは、皇帝の冠のことらしいです。その2文字でそのサボテンのフォルムを大変良く表していると思います。言葉としては、「冠」という言葉はサボテン業界ではまぁよくある言葉なのですが、その前にある「帝」という言葉から感じられる気高さというか品が良いというか、いわゆる格式の高さは、この美しいサボテン(しかも一属一種)にぴったりで、とても秀逸な和名だと思います。基本的に、漢字2文字の和名はあまりハズレが無いように思いますね。


10位.夜の女王【よるのじょおう】
Selenicereus macdonaldiae

夜咲の大輪の花。まさに夜の女王。英語圏でも”queen of the night”と呼ばれています。同じく夜咲で大輪の月下美人とは違って、花びらも萼(?)もシャープで、まさに女王という感じ。ゴツゴツしいイメージから男性的なイメージが強いサボテンですが、その中で「女性」と表現した傑作名。ちなみに、属名であるセレニケレレウス(Selenicereus)が「月のサボテン」という意味も実にCOOL。

 

9位.暗黒王【あんこくおう】
Eriosyce subgibbosa subs. clavata


著作権をクリアした画像が見つかりませんでした。
イメージ画像はこちらから⇒Google画像検索



いままでは狙いすぎ感のあるネーミングだと感じていたのですが、逆にこんな名前はサボテンの和名以外ではありえないという観点で考えると、一周してアリな気がしてきたネーミング。その刺の黒さをよく表しているとはいえ、キングですよ、ダークネスキングですよ!最高です。そんな名前なのに、お花がピンクで激可愛いところもポイント。ちなみに、「王」で終わる和名は、有名所では先述の「夜の女王」ぐらいしかないような気がします。たぶん。

※ちなみに、この暗黒王ですが、王ではなく玉ではないか、つまり暗黒玉(あんこくぎょく)ではないかという理論があります。WEB上ではどちらも検索結果は引っかかるのですが、いくつかのページでは「暗黒王」が正しいと書かれています。これはおそらく、トニー佐藤さんの「原色サボテン事典」、および平尾博さん・児玉永吉さんの「サボテン・多肉植物ポケット事典」にて「暗黒王」と書いてあるからのような気もしますが、時をさかのぼって伊藤芳夫さんの「サボテン科大事典(266属とその種の解説)(1988)」では「暗黒玉」とあります。しかも読みがながちゃんと振ってあって「あんこくぎょく」とあります。

ということで、私としては「暗黒玉(あんこくぎょく)」が正解だと思います。暗黒王が誤植なのか、どこかで誰かが間違えてそのまま定着してしまっている名前なのかはわかりませんが、少なくとも元は「暗黒玉」のような気がします。といいますか、サボテンの名前で、ここまで「玉」で終わる名前が多い中、「王」で終わるということ自体がやはりおかしいです。

ちなみに、「原色サボテン事典」において、すぐ隣のNeoporteria coimasensisも「恋魔王」と書いてあり、これも「恋魔玉」の誤りであるように感じます。つまり暗黒王も暗黒玉の誤り(点が抜けてしまった誤植?)である可能性があります。

※追記(2020/04/12):さらに今手元の本を読みますと、1980年に発行された平尾博さんの「原色サボテン写真集」では「暗黒王(あんこくおう)」とありました、ふりがなつきで。これによって少なくとも1980年には「暗黒王」と表現されることがあったことがわかり、そして「サボテン・多肉植物ポケット事典(平尾博著)」にて、書かれている「暗黒王」という表現が、単なる誤植ではないことがわかりました。
ということで、伊藤芳夫先生も平尾博先生も、サボテン界の大御所でいらっしゃいますので、どちらも正解ということで良いと思います。

ただ、私が好きなのは「暗黒王(あんこくおう)」です。こんな感じのテキトウさがサボテン文化の良さだと思っています。サボテンハウスを訪ねて「暗黒王ください!」っていうのって、私はすごく好きですね。響きが。

 

8位.奇仙玉【きせんぎょく】
Matucana madisoniorum

By msscactiMatucana madisoniorum, CC BY 2.0, Link

大正3年に発行された井上正賀 著「花卉盆栽接木法自在」において、サボテンのことを「形状奇々怪々なること」とあるように、もともとサボテンとは基本的に「奇(めずらしい・ふつうでない)」なるものなのですが、そのサボテンの中でも、より「奇」であるサボテンがこの奇仙玉。その見た目は、刺があったりなかったり、花も身体も摩訶不思議・珍妙で、まさに奇々怪々なわけです。ちなみに「仙」は、Matucana属が白色の剛毛状の刺を備えていることに由来しているらしいです(ちなみにMatucana属の昔の和名は「白仙サボテン属」)。なお、他に和名に「奇」が入るものは、奇想丸(Setiechinopsis mirabilis)ぐらいしかないと思います。たぶん。というわけで、素晴らしい和名です!



7位.晃山【こうざん】
Leuchtenbergia principis

By Petar43Own work, CC BY-SA 4.0, Link

いままで、晃山(光山)という和名についてあまり深く考えたことがなかったのですが、あるとき、このサボテンのフォルムがまるで菩薩から発せられる後光のように、そして、サボテンの花がレンズフレアのように初めて見えた時、私の身体に電撃が走ったようでした。まさにそれは晃(光)る山でありました。シンプルにして的確にサボテンの姿を表現した和名の傑作だと思います。

※追記(2020/04/12):twitterにてご指摘いただきましたが、Leuchtenbergiaという属名は、フランスにおいて軍人・政治家であったロイヒテンベルク公に由来しているらしいのですが、そもそもleuchtenが「光る」、bergが「山」というドイツ語のようです。よって一属一種であるこのサボテンが「晃山(光山)」と。なんとも面白いですね。情報ありがとうございました!

 

 

というわけで6位~1位は次回後編で

かっこいいサボテンの和名ランキング2020(後編)
ということでかっこいいサボテンの和名ランキング2020の後編です! 後編は6位から1位まで! 前編はこちら それでは! スタート!!!! 6位.砂王女【さおうじょ】 Eriosyce islayensis By Michael Wolf -...

コメント

  1. MK より:

    楽しいランキングですね。

    サボテンの漢字和名は古典園芸の流れを汲んでおり、園芸文化の香りを感じますし、個人的には学名のカタカナ表記よりも味があって好きです。

    さて、Neoporteria clavata(=Eriosyce clavata)の和名となる「暗黒王」または「暗黒玉」に関しましては、気になって調べた事があります。やはり、ここは伊藤芳夫氏と竜胆寺雄氏の書籍が基本になるかと思います。以下、簡単ですが、両氏のメジャーな文献を時系列に並べます。

    1900年 Echinocactus clavatusで新種記載。
    1957年 伊藤芳夫 「サボテン図説」→和名なし(Arequipa clavata: 新属に移属)
    1962年頃に国内初輸入(伊藤氏記述。以下、Neoporteria clavata)
    1966年 竜胆寺雄「シャボテン」→暗黒王
    1968年 竜胆寺雄「原色シャボテン多肉大図鑑第2巻」→暗黒王
    1971年 伊藤芳夫 「原色サボテン」→暗黒玉
    1981年 伊藤芳夫 「サボテン科大図鑑」→暗黒玉
    1988年 伊藤芳夫 「サボテン科大事典」→暗黒玉

    伊藤氏の記述を読むに、昭和37年頃(1962年頃)に渡来とあり、1957年時点では学名の記述はあるものの、和名を記述していません。

    その後、メジャーな図鑑系文献で最初に和名が出てくるのが竜胆寺氏の著書となり、ここでは暗黒王とあり、同氏は一貫して暗黒王を使っています。ところが、その後の伊藤氏は、一貫して暗黒玉を使い続けます。何気に両氏の和名の食い違いは他にも多々ありまして、混乱の元になっていそうです。おそらく、平尾氏も後年に片方を採用したに過ぎないと思います。同氏の周りでは暗黒王派が多かったのか、先取有効としたのかは解りません。

    ただし、そもそも和名自体は学名のように命名規約による厳格な縛りはなく、図鑑や書籍で付けられたり、ナーセリーさんが売り出す際にコマーシャル的にカタログで付けられたり、同好会誌で付けられたりで、起源は色々とあります。中には、何個も全く異なる和名を持つ種も存在します。ですので、本質的にはどちらが正しいという話でもありませんし、正当性を論争になる部分でもありません。みんなが解れば御の字かと個人的には感じます。この自然発生的な部分も大衆文化を感じます。

    なお、明緑色の肌を持つサボテンの何が暗黒なのか?ですが、本種には柱状になる前に肌が黒色〜暗紫色になるコロニーが結構ありまして、ゆっくり育てれば数年〜5年は黒い個体もあります。

    海外では、成長しても暗緑色や青銅色、紫色のタイプもあり、現在は国内で途絶えた系統から和名が付けられた可能性もあります。また、和名がついた当時は輸入種子であった可能性があり、実生苗として売り出す段階ではまだ小さくて、黒色だったのが真相なのでは?なんて想像しています。期待して育てていたら、王になる前に暗黒の闇は晴れていたという話かもしれません。

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