というわけで今回はみんな大好き這団扇(はいうちわ / Opuntia humifusa)です!
民家の軒先にでもたまに群生して生えてるのを見かける、その名の通り地面を這うように成長する魅力的(?)なウチワサボテンのですね。
By Thecoldmidwest at en.wikipedia, CC BY 3.0, Link
ちなみに、和名は這団扇のほかに「円武団扇」など他にあるそうですが、私はあまり聞いたことはないです。また、WEBで検索しますと、「Opuntia fumifusa」とある場合がありますが、「humifusa」が正解だと思います。なお、Opuntia compressa はこの這団扇のシノニムということです。
なお、現地ではデビルズタン(悪魔の舌)とも呼ばれているそうです。かっこいいですねぇ!確かに下の写真、我が家で冬にシワシワになったときのものですが、舌っぽいかもです。
そんで、この這団扇、サボテンとしての一番の特徴は、その耐寒性かと思います。
一説によれば、マイナス45度までの記録もあるっぽいです。マイナス45度の地域が世界のいったいどこなのかはよくわかりませんが、冷凍庫よりも低いわけですから、これはすごいですね!ちなみに我が家で育てている這団扇ももちろん、冬でも雪でも1年中屋外おきっぱです。強いです。ほんとに。
育て方のコツとしては、とりあえず鶏糞でも混ぜた畑に投げておけばいいかと思います。あとはそのまま放っておけばよいかと。繁殖力もウチワサボテンのなかでもトップクラスと言われています。というわけで、国によっては、有害植物として扱われている場合もあるようです。
さて、そんな這団扇ですが、サボテン栽培的観点からみてみると、接木の台木として大活躍したりします(近年あまり見ないような気がしますが)。
伊藤芳夫先生の「サボテン接木入門(昭和45年発行)」によれば、這団扇のその台木としての特徴は下記の通りだそうです。
【台木と使用したときのメリット】
- 一時に多くの台木が得られること
- 茎系が外形7.5cmの鉢に入る大きさであること
- 接穂と台木の形成層同士がよく合うこと
- 接ぎやすいこと
- 天候を考えずいつでも接がれること
- 成長王政で短時日に養成できること
- 分子が旺盛であること
- すばらしい強刺を出すこと
- 花つきが非常に早いこと
- 花を群がり咲かせること
【台木と使用したときのメリット】
- 台木が早く弱ること
- 芒刺が多いこと
- そば芽がたくさん出ること
- カイガラムシがつきやすいこと
- 冬季には成長を停止し体肌が縮むこと
伊藤芳夫著「サボテン接木入門」より要約
上記の中でも、伊藤先生は特に「すばらしい強刺を出すこと」については、大絶賛されており、特に柱サボテン(トリコケレウス属、ウエベルバウエロケレウス属、エウリキニア属など (原文ママ))を接ぐと正木物にはみられないものすごい刺を出すとおっしゃっています。
結びにはこう書かれています。
柱サボテン類は、細長く育つので、興味がないという方は、この這団扇を利用して下さい。(中略)必ずや今までにない、変わった魅力を持ってお目見得をし、あなたの栽培場に異彩を放つことでしょう。
伊藤芳夫著「サボテン接木入門」より
こういう文章、ワクワクしますね!
↑ ちなみにこの本、おそらく売り切れていると思いますが、レア物で良書なのでどっかで手に入ったら、サボテンマニアの方は買っておいたほうがいいと思います。
ちなみに、這団扇の接木に関してはGrafting on Opuntia compressaも参考になるかと思います。
ちなみに、下は我が家の這団扇接ぎ。何を接いだかはいつもの通り忘れましたが、オレオケレウス・白雲錦(Oreocereus trollii)だったような気がします。たしか。。。植え替えてないですし、冬開けなので台木も穂木も縮んでかっこ悪いですが、とりあえず確かにとんでもない刺です。
・・・
というわけでどうでしょうか。
みなさんも這団扇、欲しくなってきたんじゃないですかね!?
で、我が家の今の這団扇です。もともとは名古屋の実生園さんで譲っていただいたものです。
ちなみに、花はこんなかんじ。ウチワサボテンらしい感じのひらひらした蛍光イエローのお花。大規模修繕中に室内で咲いてくれました。
そんで開花タイムラプス!
5月30日の19:00~6月3日の21:00まで、約100時間の記録。4000倍ぐらいの再生で。なお記録静止画数はおおよそ35000枚。
うん、いい感じですね!
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