実験・製作関連

伝説のサボテン料理「アシトロン」を食用ウチワサボテンで作るぞ!

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アシトロン(acitrónという食べ物ご存じでしょうか。

使うと鋼鉄になって攻撃も何もできなくなる未だに使いどころがよくわからないドラクエの魔法ではありません。

 

アシトロンは、メキシコの伝統的な砂糖菓子で、通称biznaga(ビズナガ)と呼ばれる玉サボテン(≒フェロカクタス、メロカクタス、エキノカクタス)を原料としたキャンディーのようなもの(らしい)です。ちなみに、発音はWEBのスペイン語辞典で聞く限り「アーシートロン」という感じ。

そんでアシトロンの見た目はこれだそうです。

By Cristina Zapata Pérez – Own workCC BY-SA 4.0Link

 

上の写真では、黄色い薄い正方形っぽい形をしていますが、で色付けされて棒状で売られていることも多いそうです。また、そのまま食べることはもちろん、メキシコの独立記念日に食べられるチレスエンノガーダという伝統的料理に使われたり、三賢者の日に食べられるロスカ・デ・レジェスというパンみたいな料理にも使われたりするそうです。

 
 
 
 
 
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ちなみにbiznaga(ビズナガ)という言葉自体は、上記のように何種かの玉サボテンを指す言葉のようですが、アシトロンの原料として有名なのは、Echinocactus platyacanthus(巌、弁慶?)やFerocactus histrix(文鳥丸)だそうです。

最大の玉サボテン、エキノカクタス・巌(いわお)の魅力!
エキノカクタス属の代表種といえば、誰がなんと言おうと、金鯱(Echinocactus grusonii)だと思います。むしろサボテン科大代表種ですね。誰もが見たことがある(気がする)サボテンです。↓が金鯱。伊豆シャボテン公園にでっかいのがあ...

 

・・・

 

で、そんなアシトロンなのですが、その原料であるサボテン・biznaga(ビズナガ)は成長も遅く、いままでの乱獲によって絶滅の危機に瀕していることから、メキシコ政府によって、2012年以降、biznaga(ビズナガ)を刈り取ること(+加工、販売など商業をすること)が禁止になったそうです。

 
 
 
 
 
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つまりサボテン保護のため、アシトロンがもう作れなくなったというわけです。(実際のところはまだまだ全然流通してるっぽいですが。。。)

 

というわけで、そんなアシトロンなのですが、サボテンファンとしては一度は食べてみたい!ってことで今回自作したいと思います。

 

ただし、

日本ではもちろん食用のbiznaga(ビズナガ)は手に入りませんので、食用として売っているウチワサボテンで代用したいと思います。

玉サボテンとウチワサボテンでは形は異なるわけですが、基本的に味はそこまで違わないのではないかと勝手に思っています。というのも両方とも、CAM型光合成の植物であり、CAM型光合成特有の体内のリンゴ酸によって、とりあえず酸っぱい気がするからです。ここらへんの話は昔の記事をご参照のこと

 

ということで今回ウチワサボテンを発注させていただきましのが、こちら「太陽の葉」様のウチワサボテン。すごい見やすいWEBサイトです!

食べるサボテン 太陽の葉(国産食用サボテン)
「太陽の葉」は、生でも食べられる国産の食用サボテン。サボテンを特産品としている愛知県春日井市で、徹底したこだわりのもと栽培された美味しくて栄養たっぷりなブランドサボテンです。

 

ちなみに以前も、「太陽の葉」様ではないのですが、春日井ノパルを食す機会がありましたので、もしよろしければ下記の記事をご参照ください。

【食用ウチワサボテン】サボテンを食べるぞ!【春日井ノパル】
というわけで、春日井サボテンフェアで春日井ノパルという食用ウチワサボテンを買ってきましたので、さっそくいただきたいと思います!これです!どーん!楽天でも売ってるみたいですね。【春日井ノパル 約360g】食用サボテン/ サボテン 多肉植物 ウ...

 

・・・

そんで、今回「太陽の葉」様を注文させていただいて、実際に届いたものがこちら。

 

本当に素晴らしいウチワサボテンセットです!いつもありがとうございます!説明書などもついており、サボテンを初めて食べるという方も安心です。「春代」、「日丸」、「井之介」も相変わらずかわいい!

ちなみにサボテン食についての最近の論文などでは、「ノパルが過敏性腸症候群(IBS)に効く可能性Fibre from nopal cactus (Opuntia ficus-indica) improves symptoms in irritable bowel syndrome in the short term: a pilot randomised-controlled trial | Proceedings of the Nutrition Society | Cambridge Core)」みたいなのもありますし、いろいろな栄養素を含むなど、健康にも極めていいみたいなので、サボテン食、実におすすめです(別にタイアップ企画とかではないです!)!

 

・・・

 

さて、

 

 

肝心のアシトロンの作り方については、実はちゃんとしたレシピが書かれたページは見つからなかったのですが、下記のように、いくつかのWEBページにヒントが書かれていました。

伝統的に、ビズナガスは畑で収穫され、皮をむかれ、石灰に浸され、すすがれ、日光浴され、水で調理されます。その後、液体は廃棄され、水と砂糖で調理が繰り返されます

Acitrテウn ツソQuテゥ es? ⋆ Definiciテウn culinaria ⋆ Larousse Cocina

 

biznagaを掃除して、とげと厚い皮膚の層を取り除きます。きれいになったら、細かく切って、ビスケットに含まれている水を砂糖に置き換えるプロセスによって結晶化します。これは、シロップに長時間浸すことによって実現されます。そして最後に、表面層を硬化させるための乾燥段階。このプロセスには最大48時間かかることがあり、その結果、しっかりとした甘いものになります。

Acitrón - Wikipedia, la enciclopedia libre

 

アシトロンを作るために、葉は小さなとげと一緒に外皮から剥がされ、時にはライム溶液に浸され、天日で乾燥され、最後に水と砂糖または蜂蜜で作られたシロップで煮られ、そして再び乾燥させられます。

Page not found - Pati Jinich

 

結晶化を目的とした果物は、ライムと水の溶液に1日沈められます。その後、砂糖シロップまたはピロンチーロに浸して甘くし、良好な状態に保つことができます。結晶化プロセスの終わりに、果物の表面は乾燥して固まります。

Crystallized Papaya Candy. Unlike Candied Fruit, the Crystallized Fruit of Mexico Involves Cooking with Quicklime of the Fruits. Stock Image - Image of crystallization, candies: 160603439
Crystallized papaya candy. Unlike candied fruit, the crystallized fruit of Mexico involves cooking with quicklime of the...

 

というわけで、私がいろいろなスペイン語サイトから推定したアシトロンの作り方は下記のとおりです。

 

  1. サボテンを石灰あらため重曹を溶いた水に一晩つける
  2. 天日に半日干す。
  3. 水1カップに対し、グラニュー糖2カップ半でライムとサボテンを煮る
  4. 着色料を入れ、水がなくなるまで煮詰める
  5. 48時間乾燥させる
  6. 完成

 

もちろん、これであっているかはわかりません。

なお、1の工程で、本当のアシトロンは、サボテンを石灰で事前処理するのが正解のようなのですが、日本で食用の石灰を入手するのはかなり厳しいで、同じアルカリ性の「重曹」で代用します(これは、このアルカリ処理の目的が、おそらく「アク抜き」であろう推定した結果です。日本でもアク抜きのために食材を重曹で処理することはあります。ちなみに玉サボテンにはシュウ酸が多く含まれていますので、サボテンの前処理としてアク抜きを事前にやっておくという意味はありそうです。ただ生でも食べられる今回のようなウチワサボテンでは不要な気もしますが。。。ちなみにサボテンとシュウ酸についての昔の記事はこちら

 

そんでサボテン以外の材料はこちら。

 

そこに取り出したりますは、主人公のウチワサボテン(太陽の葉)。春日井から届いてからは冷蔵庫で新聞紙でくるんで保冷していました(説明書どおり)。

 

こんなかんじ。可能な限り肉厚なやつを選びます。

 

ピーラーでアレオーレをカットして、なんとなく皮を向きます。ヌルヌルするので結構難しいです。

 

鍋に水を入れて、重曹を小さじ一杯ぐらい溶かします。

 

そして重曹水にイン。

 

そんで一晩待ちます。

 

・・・

 

 

そんで、一晩経ったものが下記の写真。なんかとんでもないヌルヌルになりました。

 

これを水で洗って、天日に干します。

 

半日干したものがこちら。

 

水にグラニュー糖を加えて火にかけます。

 

輪切りにしたライムも加えます。

 

ウチワサボテンを入れます。

 

本場メキシコのアシトロンはカラフルなので、食用色素を加えていきます。

 

付属の小型スプーンで2杯程度いれました(適当)。

 

果たしてこのレシピであっているのでしょうか。

 

 

・・・

 

そんでさらに煮詰めていきます。

 

・・・

 

 

こいつはやべえ予感がする。

 

人生で初めて見る光景です。

あと美味しそうな匂いというよりかは、シャンプーみたいな匂いがします(ライムが原因だと思います)。

 

不安な気持ちを落ち着けて、とりあえず水が少なくなるまで煮詰めます。

水が殆どなくなったらザルに空けて乾かします。

 

・・・

なるほど。

この時点で私が想像していたものと全く違います。

 

ここからこのページの上の方のアシトロンになるとは到底思えません。

まずサボテンが超小さく薄くなってしまいました(ライムは案外美味しそう)。煮詰めすぎてしまったのでしょうか。。。もしくは、本場のアシトロンは、煮る前は相当大きなブロックで煮ているのかもしれません。

 

 

まぁでもこの時点でいろいろ後悔しても仕方がないので、(私の)レシピ通りここから48時間乾燥させます。

 

・・・

 

 

そんで48時間後

 

 

・・・

 

完成です!!!!!

 

テカリがなくなりましたね。

匂いは・・・、昭和の飴細工店みたいな匂いがします。

 

この時点でなかなか不安ですが、とりあえず実食です!

 

まずは赤いヤツから。こんな感じ。とんでもなく薄くなってしまいました。見た目はのしいかみたいです。

 

ぱくっと。

 

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

あー そうですねー。

なんだろう。

・・・

・・・

ドライマンゴーからマンゴーの旨味を完全に抜いた感じでしょうか。

 

食感は、相当硬めのドライマンゴーです。なんだろうな。皮は剥いたはずなのに、皮だけを食べてるような感覚です。

 

肝心の味ですが

・・・不味くはないです。ただし特に美味しくは・・・ないかもです。

 

なんていう表現がただしいのかわかりませんが、なんだろう、、、

 

「戦国時代では一部の偉い武将しか食べることが許されなかった、決戦前に景気づけに食べる非常に貴重な食べ物」という歴史的資料みたいな味

 

ですかね。

 

 

つぎは緑色のやつ。

 

薄さはこんな感じです。1mmぐらいでしょうか。

うん。まぁ当然同じ味です。別にメロン味とかにはなってませんでした。

 

せっかくなので一緒に入れたライムも食べてみます。見た目は宝石のように綺麗です。

サボテンと違って、歯が欠けるレベルの硬さです。

ただしキャンディーとして捉えるならば、結構美味しいです!まぁ柑橘類の砂糖漬けですから、基本まずくなりようはないので。。。

 

・・・

 

 

うーん、今回サボテン食を広めようと未知の可能性を追求したのですが、このような結果になってしまい、ウチワサボテン(「太陽の葉」)の生産者さんに申し訳ないです。

ただ、味自体は砂糖が基本になるわけで問題はなさそうですし、最終的に肉が厚ければなんとかなったのではないかと思います。相当太いウチワサボテンで作るべきなのか、単に煮込みすぎたのか、それはわかりませんが。。。

というわけで結果として今回は失敗に終わりましたが、肉の厚みが残るような調理方法、仕組みを考えればハネる可能性はありそうではありました。

信じていただきたいのは、決して遊びでオチャラケでやったわけではないということです。それだけはどうか信じてほしいです。。。

 

 

ということで

アシトロンを目指した謎の料理の話でした。

というわけで残りのウチワサボテンは普通のレシピで美味しく食べたいと思います!

春日井サボテンフェアまた行きたいですなぁ。。。

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