サボテンが部分的に腐ったりしたり、変に徒長してしまったり、強制仔吹きさせたいときなど、サボテンを切断することがあります。いわゆる胴切りというものです。
この胴切り、切断面から腐りが入らないように、切断面に殺菌剤や石灰などを塗ったりすることがあるのですが、今回はそんな断面に塗布するものについて、いろいろ試してみました。
ちなみに過去の脅威のパワーシリーズ(?)はこちら。
今回胴切りされるサボテンはこちら。伸びすぎたセレニケレウス。種類は不明。
本当は球サボテンでやりたかったのですが、そんなに切断する数もないのでしかたなく紐サボです。
このセレニケレウスを10cm強の長さで切り刻み、切断面に手元にあった色々なものを塗って経過を観察します。
塗ったものは以下の通り。
- やけど治療用の軟膏(漢方)
- ダコニール原液
- ベニカXスプレー
- ベンレート粉末
- トップジンMペースト
- ルートン
さて、それぞれどんな結果(発根速度や腐りの有無などへの影響について)になるのでしょうか。
・・・
この実験で、恐らくサボテン業界初であろう塗布剤が「やけど治療用の軟膏(漢方)」でしょう。
商品名は伏せますが、私が昔指先を火傷したときに塗っていたドラッグストアに売っていた塗り薬(?)です。
成分は、解毒、抗菌、抗炎症作用があるシコン(紫根)と呼ばれる天然物質で、調べたところによると、火傷や外傷などに効果があり、とくに肉芽形成を促進するとのこと(もちろん人用なのですが・・・)。
どうでしょう、この胴切りにピッタシな感じの説明。
植物由来の薬らしいので、副作用もなさそうな気がします。
で、この軟膏、私が火傷したときは、指先に塗布し、ラップを蒔いて乾かさないという治療を行いました。これは、現在主流になりつつある湿潤療法(ラップ療法)というらしく、特徴は、「消毒をしない」「乾かさない」ということです。これはwikipediaによれば、
傷口の内部に消毒薬を入れることを避け、再生組織を殺さないように創部を湿潤状態に保ち、なおかつ感染症の誘因となる壊死組織や異物を十分除去(デブリードマン)し、皮膚常在菌による細菌叢を保持し有害な病原菌の侵入を阻害することで創部の再生を促すものである。
というものらしいです。
ここで私は閃いたのですね。
人間もサボテンも生き物。
そう。
サボテンを胴切りしたときに、乾かす時代は終わったのではないかと!
・・・
というわけで下の写真のように、切断したサボテンの断面に軟膏を塗り、乾燥を避けるためにラップをします。
紫根の名に恥じないビビッドな色で、ものすごい独特な臭いがします。
あとは直射日光の当たらないところに放置しておくだけです。
・・・
他の塗布剤の写真は省略しますが、下の写真のような感じで、塗布したものとサボテンの上下をマジックで書いておきます。
全部でこんな感じ。
・・・そして、時が経ち3ヶ月後。
実験自体を完全に忘れていました!
(本当は1週間ぐらいで土に挿す予定だった)
とりあえず、こんな感じになりました。
早速結果から。
まずは、火傷のための軟膏(漢方)。
特に根は出ていないのですが、特に腐りが入っているわけでもないです。乾かさなくても特に腐らないということはわかりましたが、・・・なんだろう、だからといって別に優れているわけでもないという感じでしょうか。
う~ん、何か良い特別な結果がでたら論文クラスかと思ったのですが・・・。残念。
・・・気を取り直して次。
こちらはダコニール原液を塗ったもの。
特に根は出ていないのですが、特に腐りが入っているわけでもないです。
ベニカXスプレー。
断面から根が一本だけでたのがひとつ。
ベンレート粉末。
断面から根が一本だけでたのがひとつ。
トップジンM。
断面から数本根が出ました。ボンド的に固めるイメージがありましたが、そんなこと関係なく根が貫いてくるっぽいですね。
そしてルートン。
根がぼうぼうに。
(実はルートンは4本に塗って、うち二本は上下逆さまに土に挿して、どこから発根するのか観察するはずだったのですが、完全に実験自体を忘れていましたね。)
ルートンは他の塗布剤とは明らかに根の勢いが違うように見えます。
さすが発根促進剤と謳われていることはある気がします。
・・・
というわけで、ルートンすごい!という結果でした。
初の試みであった紫雲膏については、特に腐らなかったものの、特別優れているというわけでもない感じがしました。
ちなみに、twitterで「バーナーで断面を焼くのはどうですか?」とご意見を頂いたのですが、これはなかなか面白そうですので、またいつか別の機会でやってみたいと思います!
【注意事項】
ただこの実験、今になってよくよく考えると、すべての切片を一本の枝から切り出したのですが、切り出した位置が発根に影響を与えている可能性がある・・・気もしてきました。
つまり、サボテンも年を取れば、枝先(成長点に近い部分)と根に近い部分(成長点に遠い部分)では、いろいろ生理現象に対する作用も違ってくるはずです。
では、その点を考慮し、よく発根したルートン塗布の切片と、全く発根しなかった切片の、切り出した位置関係はどうだったのかということなのですが・・・、
忘れました。
というか記録していませんでした。
う~む。
というわけで実験条件がまたブレブレでしたね。
終わってから色々気づきますね。困ったものです。^^;
コメント
ルートンってほとんどの人が使用したことがある割に、効果が感じられない。とかお祈りする程度に、とか曖昧な記述が多かったのですが、今回何本かのサボテンで同様の発根作用があることが確かめられてうれしいです。恐らく3か月という長い期間実験をしていたため大きな効果が認められたのだと思います。勉強になりましたありがとうございます。
匿名さま
こんにちは!ご来訪&カキコありがとうございます!
そうですね、私もちょっとびっくりの結果でした!
また、おっしゃる通り(実験の存在を忘れていたため)長い期間の実験になったというのが影響したのかもしれません。
今回の実験を受けて、私は今後はルートン一択になりましたね。
ちと単価が高いのが玉に瑕ですが、農家レベルの数があるわけでもありませんので。
ただ、本分最後の注意事項にも書きましたとおり、一部実験に不備もありましたのでその点はご了承下さいませっす(人´∀`).☆.。.:*・゚。