というわけでシャボテン公園旅行記メキシコ温室編全3部作の第3弾になります。
メキシコ温室編第1弾はこちら
メキシコ温室編第2弾はこちら
というわけでスタート!
マミラリア・金星(Mammillaria longimamma)。旧ドリコテレ属(Dolichothele)。これ系のイボイボサボテンはドリコテレ!って感じだったのですが、マミラリアに統合されたようですね(残念)。多肉植物のトリコディアデマ(紫晃星とか)にも似ていますね。象牙丸レベルの大きな直根ができるのが特徴でしょうか。こういう大きな根って、パキポディウムのビスピノーサムとかみたいに、常に地上に出しといて鑑賞・栽培ことってできるんですかね?今度やってみましょうかね。
アガベ・不動剣(Agave horrida)。最近は和名は使われずに「ホリダ」と呼ばれることが多いような気がします。昔からこんなに人気があったっけ?という感じがなんとなくする、今結構な人気のアガベ。ただ話題のチタノタとかに比べて、かっこよく引き締めてビシっと作るのは、とても難しい気がします。
フェロカクタス 勇壮丸(Ferocactus robustus)。写真を見ても一見ユーフォルビアなのでは?と思うレベルの面白フェロカクタス。単体・大型・強刺第一至上主義のフェロカクタス界において、小型群生する結構な異端児。自生地では高さ1m、直径5mにもおよぶ大群生を形成するとか。面白いですね。
ネオブクスバウミア・勇鳳(Neobuxbaumia euphorbioides)。学名は「ユーフォルビアに似ている」という意味。和名もそこからだと思われます。ただ、他の柱サボテンに比べて本当にユーフォルビアに似ているのか??という感じですが、勇鳳は成長するにしたがって刺が脱落していくらしく、その姿が大型柱ユーフォルビアに似ているようです。そう思って写真を見ると、「まぁ確かに…」という気がしてきます。花はピンクでとても可愛らしいです。なお、花が良く、刺がなくなるというのであれば今後ワンチャン大流行するチャンスがあるのでは?という気もしますが、かなりの大きさにならないと刺はなくならないっぽいのでたぶんダメだと思います。
オプンチア・刺無団扇(Opuntia stricta)。刺のない団扇と言えばバーバンクウチワが有名ですが、こちらはラベルを読む限りOpuntia stricta。Opuntia strictaと言えば、世界各地で、侵略的な外来種として問題になっており、日本では要注意外来生物に指定されているやつで和名はセンニンウチワ。・・・のたぶん刺のないverなのだと思います。
ちなみに刺無しウチワであるバーバンクウチワを開発したルーサー・バーバンクさんは、我々サボテン業界では勿論有名なのですが、実はもっと有名なのがバーバンクさんが開発したバーバンクポテトというジャガイモであって、実はあのマクドナルドのフライドポテトは、このバーバンクポテトから進化したラセットバーバンクというジャガイモなのだそうです。勉強になりますね!
オプンチア・紅花団扇(Opuntia bergeriana)。その名の通りすごく綺麗な紅色の花が咲きます。寒さにも強くて露地植えでもガンガンでかくなります(そして困ることになります)。この紅花団扇、一番の需要は接ぎ木の台木としての用途。上述のstrictaの刺なしverみたいに、刺がなくなったやつが出てきて、且つ台木の性質を併せ持つやつがでてこないものですかね。
キリンドロプンチア・陽炎団扇(Cylindropuntia alcahes)。見た目通りの凶悪系であり、これと言って書くことがないのですが、花が結構面白いと思います。花びらがちょっと赤茶色っぽい褐色で、雌しべが黄色、雄しべもさきっちょだけは黄色いのですが、雄しべの茎は緑色という風変わりなカラーリングです(ただ、この種類特有ということではないですが)。
アガベ・王妃吉祥天(Agave parryi)。別名「メリコ」。「メリコ」は「メコシコ」の訛り?だと思います。学名はparryi(patonii)と書いてありますが、今はapplanataとなっているともWEBには書かれていました。なお、Agaveの和名によくある「王妃」とは、いわゆる「矮性種」を表すと思うのですが、この「王妃」という言葉を生み出した人は天才だと思います。王妃がつくだけで、「なんだかわからないけどもとんでもないロイヤル感」がでます。よくサボテンなどの矮性種に「姫」がつくことがありますが、姫吉祥天と王妃吉祥天では、市場において天と地の差があるような気がします。なお、この写真のやつですが、個人的には「ずいぶんと大きいな」という感想なのですが、「王妃」ってこれぐらいの規模でしたかね?
フェロカクタス・巨鷲玉(Ferocactus horridus)。アガベのホリダも、ユーフォルビアのホリダも「ホリダ」と呼ばれますが、このフェロカクタスは「ホリダ」と呼ばれることはあんまりないですね、巨鷲玉です!かっこいい名前!フェロカクタスの中では安価な普及種ですが、短刺巨鷲玉とかすごくかっこよくて好きです。
アガベ・笹の雪(Agave victoriae-reginae)。学名はヴィクトリア女王に由来。学名のreginaeは女王の意味。通称クイーンオブアガベ。成長して真ん丸に育つと本当に美しいです。肉厚の角張った葉に白のペンキが本当に3Dグラフィックスのポリゴンのようです。なお成長は遅いです。学名的に、ぜひとも次に紹介する笹吹雪と一緒に育ててほしい逸品。
アガベ・笹吹雪(Agave ferdinandi-regis)。学名はブルガリアのフェルディナンド国王に由来。学名のregisは王の意味。通称キングオブアガベ。wikipediaによるとフェルディナンド国王は上述の笹の雪の学名のヴィクトリア女王の従甥とのこと。アガベは勉強になりますなぁ。上述の笹の雪より葉数が少なく、葉は深緑でさらに肉厚で、サイズもこちらの方が大きいとのこと。
ペレスキオプシス・キリン団扇(Pereskiopsis velutina)。実生接ぎの台木といえばこれ。私の過去の調査によればC3型光合成とCAM型光合成を行うようです(参考:【C3型光合成】杢キリンとキリンウチワの光合成について【CAM型光合成】)。刺が思いのほか凶悪なので、初めてキリンウチワ接ぎをされる方は要注意です。
アガベ・ボビコルヌタ(Agave bovicornuta)。葉っぱに赤い大小の刺が交互に生えるが特徴。この刺の赤さがくっきり出るとかなり美しいアガベです。海外でも人気が結構あるようで「カウズホーン Cows Horn Agave(牛の角アガベ)」と呼ばれています。ちなみに自生地に住む方々は葉っぱを食べるそうです。
セレニケレウス・鍵柱(Selenicereus hamatus)。学名のhamatusは「フックされた、引っ掛けられた」のという意味らしいので、和名は「鍵柱」というよりかは「鈎柱」なのではないかという気もします。とても大きな花が咲くでしょう。
アガベ・ウィルモリニアナ(Agave vilmoriniana)。いやこれすごい見た目ですわ。海外ではオクトパスアガベ。まさにその名の通りですが、そのインパクトはオクトパスどころかあの名作海洋パニックホラー「ザ・グリード」を彷彿するレベルです。私あの映画大好き。ちなみに、学名の「vilmoriniana」はラテン語読みしますと「vi」が「wi」の発音になるので「ウィルモリニアナ」になります(ラテン語の学名の読み方をカタカナに変換するプログラム完成)。そう考えると「Agave」も「アガウェ」になるのでは?という気もしますが、Agaveがもともと古代ギリシャ語から来ているので、ラテン語読みしてはいけないのかもしれません(よくわからんです)。
アガベ・サイザル麻(Agave sisalana)。麻とありますがアガベ。ファッショナブルなアガベ界において異例の和名。その名の通り繊維材として使われるらしいです(船舶用ロープとかダーツの的とからしいです)。なお、実をつけない雑種のようで、原種はよくわかっていないとのことです。観賞価値は微妙。
キリンドロプンチア・灌木団扇(Cylindropuntia arbuscula)。写真では分かりづらいですが、かなり長めの凶悪刺が、他のキリンドロプンチアとは違い密集してはいないもののところどころに刺さっている凶悪系ホラー植物。アリゾナペンシルチョラ。果実は地元の人の飲み物になるそうです。
ステノケレウス・朝霧閣(Stenocereus pruinosus)。旧リッテロケレウス属(Ritterocereus)。なんかこういう謎めいた名前の柱サボテンはみんなステノケレウス属になってしまった印象ですね。果実がおいしくて有名。海外では「グレー・ゴースト・オルガンパイプ」と呼ばれるように、ちょっと灰色がかった(なんかトリコームみたいな白っぽい)柱。花は24時間咲いてくれます。ロフォフォラの台木に最適と昔の本にはよく書いてありますが、最近はあまり見ない気がします。
セレニケレウス・大輪柱(Selenicereus grandiflorus)。前述の鍵柱(Selenicereus hamatus)と殆ど同じに見えますが、結構遠い血筋のようです。名前のとおり大きな花が咲きます(参考:4年越しの夢がついに叶う!セレニケレウス大輪柱咲く!)。ただセレニケレウスの全種が基本的に大きな花を咲かせるわけで、個人的感想では、大輪柱が他のセレニケレウスの種類よりも花が大きいかと言うとそうでもないような気がします。
マミラリア・明星(Mammillaria schiedeana)。100円ショップでも見かける金色の可愛い普及種。徒長させると緑の肌が露出しがちになるので、なんとか締めて作りたいところ。いい感じの素晴らしい和名。開花時間もとても長く、刺も人のほうを向いていない素晴らしいサボテン。
マミラリア・白星(Mammillaria plumosa)。見た目的には上述の明星の白バージョンと言う感じ。モコモコで大変面白いサボテンなのですが、そのモコモコに隠れて知らない間に本体が死んでいるということが結構(我が家では)あるので要注意です!
アガベ・酒呑童子(Agave xylonacantha)。ちなみに酒呑童子とは、京都に住む鬼の頭領だそうです。海外ではSaw Leaf Agave(ノコギリ葉アガベ)で、その名の通り葉っぱのトゲトゲがかなりギザギザ。発泡スチロールとか切ってみたくなりますね。
ダシリリオン・鋸歯竜(Dasylirion glaucophyllum)。巨大型ダシリリオン。葉っぱはペラペラでありながらしっかり刺があり、木工用(重要)のノコギリのよう。ちなみに、この種類に限らず、ダシリリオンは海外では「デザートスプーン(砂漠のスプーン / desert spoon)」とも呼ばれています。これは葉の根本の形がスプーンに似ているからとのことです(似てるか???)。というわけで、例えば海外のレストランで、食後にいわゆるスイーツ用の「デザートスプーン(dessert spoon)」くださいと言いたいときに、発音を間違えると巨大なダシリリオンが運ばれてくる可能性があるので注意が必要です(砂漠のデザートは「デ」にアクセント、スイーツのデザートは「ザ」にアクセント)。
ペレスキア・杢キリン(Pereskia aculeata)。こちらは先述のぺレスキオプシス属と違い、C3型光合成オンリーだと思います。サボテン界では台木として大活躍で、枝を尖らせてサボテンにぶっ指します(参考:サボテン接ぎ木入門(杢キリン編))。ぱっと見は、普通の道路横に生えている名も知らぬ植物のようですが、しっかりサボテンらしい刺は生えてますので注意が必要です。
↓杢キリンの刺。
ペレスキオプシス・瑠璃葉キリン(Pereskiopsis diguetii)。ペレスキオプシスとは、上述の「ペレスキア」に「似た」という意味。ペレスキオプシス属には全6種ぐらいあるのですが、これらの見分けがつくようになったらかなりのサボテン超上級者なのだと思います。もちろん私はわからないです。Pereskiopsis diguetiiは別名大型麒麟団扇とも呼ばれるらしいので、おそらく大きいのだと推測します。
セダム・乙女心(Sedum pachyphyllum)。海外では、「ゼリービーンズ」だとか「メニーフィンガーズ(多くの指)」だとか「神の指」だとか呼ばれているようですが、日本では、寒くなると先っぽがちょっと赤くなるから「乙女心」と名付けられたようです。このセンスですよ!日本が誇るべきところは!
というわけでついに全温室完了です!
次回はシャボテン公園おまけ回「シャボテン狩り工房・グランピング編」です!
次回でラスト!
コメント
はじめまして。愛読させて頂いております。
「王妃」たしかに、すごいロイヤリティー感ですね(笑)
我が家の初アガベは王妃雷神白中斑でした。
確かに、アガベなんかわけもわからず
王妃・・・すげーなんか高級そう!
ってな感じで購入した感じが少なからずあります。
その王妃はロゼット開きっぱなしで
超格好悪いんですが(苦笑)
また、寄らせて頂きます。長々失礼いたしました。
北海道白中斑 さま
ご来訪&書き込みありがとうございます!!!!
ご返信が遅れまして失礼いたしました!
王妃いいですよね!片っ端から王妃つけていけばもっと売れると思います。
「姫笹の雪」とかも「王妃笹の雪」にするだけで、全然イメージが違う気がしますね。
こういった和名の妙も、多肉植物業界の面白さでとても好きです!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
初めまして
Agave vilmoriniana 検索から辿り着きました。
丁度今日当方ブログに奇形ビルモをUPしたところでした。
長い間多肉に親しんでいます。
貴ブログで色々勉強させて頂きたく、宜しくお願い申し上げます。
YKTさん
はじめまして。ご来訪&書き込みありがとうございます!
Agave vilmorinianaいいですよね~。
大型のものはシャボテン公園で初めてみたのですがかなり感銘を受けました。
大きな庭があったら第一候補になりましたね。
また、ブログ拝見させていただきました!
多岐にわたる知識とご経験で、私のほうこそが勉強させていただくレベルでございます!
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。(人´∀`).☆.。.:*・゚
サイザルも以前から栽培していますが、ウイルス症状?が出るので閉口します
小笠原の母島に自生する種(昔米国からの持ち込み?)も入手しましたが、今のところウイルス症状無しです。
前者の個体の縞斑、中斑等も有りますが、マスキングにより症状を抑えています
もう一つサイザルで入手した超大型種の白覆輪、さらにその芽変わり縞斑等も栽培していますが、こちらはウイルス症状無しです。
無霜地帯で大きく育てて見たいですが、いかんせん現状では尺鉢が精一杯です。