栽培環境構築関連

イレクターパイプで温室をつくるぞ!(構想編)

栽培環境構築関連
スポンサーリンク

住居の引越しに伴い、サボテン・多肉植物用温室(フレーム)をおしゃれに(?)作りかえたいと思います!環境としては2階のベランダから8階のルーフバルコニーに変わります。


以前の家のベランダサボテンフレームは以下の写真のとおりです。

素材はL字のアングル材。天板はアクリル。側面は100円ショップの透明なビニールっぽいなにか。背面はPCファン(こちらの記事を参照)を搭載した塩ビ板。床面に100円ショップのガーデンマットを適当に敷いて、その上に断熱のためにホームセンターで買ったスタイロフォームを敷いていました。おおよそ一年間このフレームを用いて育てていましたが、特に弊害はなかった・・・ように感じます。おそらく。


もちろん天板は簡単に取り外し可能です。

ファンは30度で回るようにマイコンプログラムしました。ただし夏だけはファン関係なく後方全開放でした。ファンの付いている板は塩ビ(PVC)で、理由は安かったからです。必要に応じて不織布なり寒冷紗なりで、遮光していました。


フレーム内部でも空気撹拌のためファンを定期的に回していました。

ちなみに冬は、プチプチシートをまわりに貼って断熱を図っていました。また光の当たらない背面(ファン面)には断熱用アルミシートなども貼ったりしていました。一応、加温もしており、使用していたヒーターは以下のものです。サーモ内臓で風も送れるので便利でした。


というわけで、フレームの出来にはおおむね満足していました。アングル材が切断面から錆びていくのがちょっと気になったぐらいでした。


さて、この度引っ越しをしたため、フレームを新しくします。

以下の図はTrimble Sketchupイレクターコンポーネントとイレクター作成プラグインを用いて描いた三次元CAD構想図です。各ジョイントはわかりやすくするため色を変えています。






[材料]

無骨なアングル材をやめてイレクターパイプを用います。理由はパーツの多さと。、ある程度安価なことと、少々おしゃれ(?)だからです。

[寸法]

温室やフレームは、その温度の急激な変化を避けるため、体積が大きければ大きいほどよいのですが、今回は分譲マンションのルーフバルコニーという共有部分に置く計画のため、あまりに目立つものは置けません(規約にもよりますが、一般に本当はこういった建造物は目立たなくても置いてはいけません)。よって、高さは不本意ではありますが、手すりの高さより十分低いくしました。あと、室内で製作してからルーフバルコニーに設置する予定のため、窓枠を通れるおおよそ最大のサイズを考え、600mmとなりました。

[換気]

背面のファンとパネルは、前回のものを流用いたします。30度で排気です。

[側面]

農業用ビニール等で覆います。夏は開放です。

[天板]

今回のリニューアルで最も考えたところです。理由は「紫外線透過率」です。紫外線をより多く透過する天板を選ぶ必要があります(後述)。候補は、ガラス、アクリル、塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリスチレン、フィルム系(農ビ、農PO、エフクリーン)などなどありましたが、最終的には2mmのアクリル板に落ち着きました。勉強の結果は以下のとおりです。
  • ガラスは取り扱いが繊細だし、割れると危ない。紫外線透過率はまぁそれなりに良好。
  • アクリル(MMA)は可視光部分の透過率はガラスより上だが、こちらの参考文献によれば近紫外線以下はかなり厳しい。UVB(280~320nm)の紫外線も透過させる「紫外線透過アクリル」なるものも存在するらしいが、高価であり、そもそも売っているところがわからない。UVBはリクガメ飼育には必須らしいので、そういった店に売っているのかもしれない。
  • 塩化ビニール(PVC)は、紫外線透過率の下降線は緩やかだが、可視光部分自体の透過率が低め。紫外線により劣化黄変しやすい。
  • ポリカーボネート(PC)は、紫外線をほぼカットするので不可。耐久性は強い。
  • ポリスチレン(PS)は紫外線透過率はかなりよいが、紫外線ですぐもろくなるので不可。
  • 農ビ、農PO等のフィルム系は耐用年数が短く、張り替える必要が結構あり、やわらかくて雨とか屋根にたまりそう。エフクリーン(フッ素フィルム系)は紫外線透過率などすばらしいが、燃やすと猛毒ガスが発生するなど素人には敷居が高い。
  • こちらの園芸相談によれば、紫外線を通すにはアクリルが適しているとのこと。
  • こちらの参考資料によれば、アクリルは紫外線をよく通すとのこと。
  • こちらの質問集によれば、植物に及ぼす紫外線の影響を調べる場合、アクリルで紫外線をカットしても植物の外見上の形態への影響はまずみられないでしょうとのこと。

というわけで、いろいろ総合して、アクリル板にしました(個人的実績もあるので)。アクリルは、園芸関係の資料では、紫外線をよく通すとあり、その他物性系資料では、あまり通さにとありました。理由はわかりませんが、園芸用アクリルボードと一般のアクリルボードはそもそも違うものなのか、それとも、園芸で問題とする紫外線と、一般の紫外線の波長等の認識が違うのか、私が大きな勘違いをしているのか、のどれかだと思います。

 

※そもそも紫外線はサボテン・多肉植物に必要なのか問題

  • 紫外線は人間と同様に植物に有害な部分もある。
  • アントシアニンの合成には、UVA(320nm~400nm)が必要らしい。高山では花の色が濃いのは紫外線量が多いかららしい【参考】。たとえばナスやイチゴの色を良くするには、紫外線が必要(専用の農業用ビニールがあるぐらい)。つまりは紫外線は発色に関係する。
  • 植物がより明るい方に向かって屈曲して成長する現象(光屈性)に有効なのは青色~UVAらしい。【参考
  • いくつかのサボテンは、ハイレベルな紫外線がないと、花が咲かないらしい。たとえば Andean dwarf Opuntioidsなど。結局のところ高山性のサボテンは特に紫外線が必要。【参考
  • ということで、サボテンいついては紫外線はあったほうがよい。たぶん。
 
というわけで、以上が温室リニューアル構想です。
 
 
次回、実際の製作編に続きます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました