先般の記事で、wifi経由でサボテンフレームの温度を計測、クラウドサーバに集計するということをやりました。詳しくは以下のとおりです。
ちなみにリアルタイムグラフは以下のリンクにパブリックにしておいてありますので、ご参照くださいませ。人の家の温度なんぞ知っても面白くはないとは思いますが・・・。
さてさて今回は、そんなこんなで取得できた温度データから、我が家の温室(フレームですが)の性能について考えていきたいと思います。
なお、私は園芸については素人中の素人であり、熱力学もまともに勉強したことなどがないため、いろいろ間違っていることを書くかもしれませんが、どうか温かい目でお願い致します。
さて、以下のグラフはクラウドサーバからエクスポートした5月21日の温度グラフです。
オレンジの線がサボテンフレームの温度で、青い線がフレームの置いてあるバルコニーの温度です。
グラフを眺めているといろいろ気づきます。例えば
- 日が登るまではバルコニーの温度もフレームの温度も同じこと。
- 日の登り始めは、バルコニーの温度が先に上がり、フレームの温度が追従すること。
- バルコニーの温度は30度強で安定すること。
- それと対象にフレームの温度は山なりなこと。
- 日が落ち始めるとフレームとバルコニーの温度差が一定に少しは続くものの(16:00~18:00ぐらい)、すぐに同じになること。
- 20時以降はフレームとバルコニーの温度が反転すること。
などなど。なかなかおもしろいですね。
そんな気づいたことの中でも、私が考える温室パラメータとして重要そうなポイントは以下のとおりになりました。
1.温度が高すぎる問題。
実のところ、サボテン栽培において許容される最大温度が何度なのかは私にはわからないのですが、この季節に温度が50度を超えているのはいささか高すぎる気がします。
2.日の入りの温度下降が急過ぎる問題。
やはり温室ですから、24時間ずっと外よりも暖かいことが続いてほしい気がします。
3.夜になると温室の中のほうが寒い問題。
どういうことですかね。これは。冬は放射冷却などの影響で温室内のほうが寒くなることもあると聞きましたが、夏も涼しいのですかね?
というわけで、上記のポイントを踏まえて、私が勝手にこれが理想のグラフだろうというフレーム内温度を下図に緑色の線で描いてみました。
※重要な事は、これは「私が」理想だと想像する温室のグラフであって、サボテンにとって理想のグラフではないことに注意です。サボテンにとっての理想のグラフをご存じの方はご連絡ください(笑。
それでは、理想の曲線になるためには何が必要かを考えていきます。
まず高すぎる温度問題(オレンジ線の日中の山なりの部分。)の解決は、やはり換気による解決策が一番簡単だと思います。
この現実の山なり温度グラフをみるに、いかにも私のフレームには換気用ファンがついていないような感じがしますが、実はついています。
こんな感じの要らなくなったデスクトップPCから取り外したファンが2個ほど。
ちなみに左の提灯みたいなやつは、前回作ったwifi温度計のセンサー部です。
ファンの駆動温度はサーモスタットで28℃設定です。
しかしながら、グラフをみるに28℃あたりでは全く変動はありません。
完全にパワーが足りていないことがわかります。
もはやグラフからは意味があるのかさえわからないレベルですが、もしなかったら60℃ぐらいまで温度が上昇しているのかもしれませんし、なかなか難しいところです。
というわけで、いつの日、より強い換気扇に換装したいですね。
次は、温度急下降問題です。
こちらの原因はおそらくいろいろあります。
まずは一番わかりやすそうな原因は密封性や断熱性の低さです。
ド素人が見よう見まねで作ったフレームですから、もちろん密封性などあるわけもありません。
イレクターパイプで温室をつくるぞ!(完成編)
前回の記事からついに完成!冬に間に合いました。 外観。バルコニーの手すりより高さは低いです。台風およびマンションの大規模修繕の時に、部屋に温室ごと入れられるように、窓を通れる大きさです(但し重すぎて一人で運ぶのは不可能です)。 後ろからの写...
というかPCのファンで換気している時点で密封されているわけないですし。
断熱も、アクリルと塩ビですから断熱性能は皆無ですね。
次の要因はフレームの表面積です。表面積は狭ければ狭いほどいいです。
なぜなら放熱の量は表面積に比例するからです。
ということは、小さい温室ほどよいのかということになりますが、これが全くの逆です。実は、放熱を少なくするには、表面積は小さい方がよいが、体積は大きい方が良いのです(後述の熱容量にも関係する)。体積が大きければ大きいほど冷めにくいのです。
では、表面積VS体積ではどちらが強いかというとなんですが体積のほうが強いです。
超簡単な理由としては、面積は「縦×横」で、体積は「縦×横×高さ」ですね。例えば立方体で計算してもらえればわかると思いますが、体積が1,000倍になっても、表面積は100倍しかなりません。そんで単位体積あたりの表面積は1/10になります(ちなみに、これを「二乗三乗の法則」というようです。)
つまり、おっきくなればなるほど、表面積も確かに大きくなるけど、体積のおっきくなる率のほうが大きいということです。だから結果として冷めにくくなると。
写真を見ていただいても分かる通り、私のフレームはとても小さいです。
つまり急激に温度が上がり、急激に温度が下がるのです。困ったものです。
いつの日か大きい温室でも作りたいものですね。
次の要因は蓄熱体の熱容量です。
熱容量とは、物体の温度を 1K上げるのに必要な熱量のことです。わかりやすくいうと、熱容量が高いと、温まりにくく冷めにくいという感じでしょうか。温室は冷めにくい方がいいとおもうので、温室の熱容量を高くすればよいわけですね。
熱容量は、高校物理によれば「比熱×重量」で表されます。
比熱は物質特有のものです。比熱が高いものの代表といえば水です。
というわけでペットボトルに入れた水でも大量に温室の中においておけば保温力が高まる・・・・のかもしれません?実際に住宅の床下にペットボトルを大量に入れて保温力を高めるという方法があるようですし。
あとは風ですね。風が強いと温度がすぐ下がります。
うちは結構高台にあって風が強いんです。これは仕方がない。
・・・てな感じですかね。
まぁいろいろ解決するには実に大変そうですね。
というわけで、みなさまも一度、温度を計測されることをお勧めいたします。
なかなか面白いですよ!
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