ビカクシダを胞子培養するぞ!4週間後




さてさて、見よう見まねで撒いたビカクシダ胞子ですが、4週間がたちました。2週間ではまったく発芽しなかった胞子たちですがどうなったでしょうか。


インタビュアー「スパサボさん、胞子培養をはじめてから4週間が経ちましたが今のお気持ちは?」




スパサボ「・・・」




インタビュアー「スパサボさん?」




スパサボ「・・・ハエテナーイ!(カミソリのCM風)







というわけで、4週間前からなーーんも変わっていません。一粒も発芽していません。

もしかしたら、世界を操る闇の組織か何かによって私の記憶は改ざんされ、胞子を蒔いたという記憶自体が実は嘘だったのかもしれません。もしくは若年性健忘症でしょうか。いや、家族が胞子とコショウを入れ替えたのかも!



・・・





ということで、もはや発芽しないことにも慣れてきましたので、冷静に分析します。



発芽に必要な要素は、私が思うに、「温度」、「」、「」です。

温度は、ヒーターで20℃前後に保たれています。いろいろな方々の情報をまとめてみましても、おおよそこれぐらいの温度で発芽しているっぽいので、問題ないでしょう。たぶん。

は、タッパーおよびプリンカップでフタ付きでほぼ湿度100%で、半密封状態です。これも問題ないでしょう。たぶん。

ということは、問題は・・・



そうです。光です。



シダの胞子は光発芽種子です。つまり光があれば発芽するということです。

現在の発芽温室の光状況は、室内の日が当たらない明るい日陰です。これが問題なのではないでしょうか。つまり発芽のトリガーとして、何らかの問題があると。



もっと掘り下げて考えます。



シダの胞子発芽には、赤色光受容体であるフィトクロームというタンパク質が関与していると言われています。そして、Flint と McAlisterのレタスの種子による実験などから、フィトクロームが関与する胞子・種子には、660nmぐらいの赤色光を短時間当てると発芽が誘導され、750nmぐらいの近赤外線を短時間当てると発芽が抑制されることがわかっています。

フィトクローム関連の実験の偉大な結果は、赤色光を照射した後に近赤外光を照射すると、発芽が抑制され、またまたその後に、赤色光を照射すると発芽するという「発芽は最後に照射した波長に依存する」という「赤色光-近赤光可逆性現象」です。表にすると以下の様になります。


表1.赤色光と近赤外光の短時間照射(5分程度)が発芽に与える影響
based on Borthwick et al ., 1952

可逆性についてはとりあえず置いておいて、要約すると、660nmの赤い光を最後に短時間与えれば発芽するということです。



というわけで、手元にあった植物用光照射装置で結構前から温室全体を照らしておりました。

数日前までの温室。

赤青照射装置。




これで完璧。そう思っていました。







でも実はこれには大きな問題があったのです。






[菅井道三(1999)シダ配偶体の発生生物学 -日本における研究を中心にして- Plant Morphology11(1):32-41.]によれば、シダの胞子発芽を抑制するのは、フィトクロームに関連する近赤外だけではなく、青色光の照射によっても発芽は抑制されるらしいのです(モエジマシダによる実験結果)。そしてこれは、前述のような短時間における可逆性がないらしいのです。表にすると以下のようになります。


表2.赤色光と青色光の短時間照射がモエジマシダの胞子発芽に与える影響
based on Plant Morphology11(1):32-41 1999


つまり、青色光を照射した場合、その後に赤色光を短時間照射しても発芽率は回復しないらしいのです(フィトクロームの場合と違う)。回復させるには、8時間以上の赤色光の照射か、暗所に24時間置かなければならないとのことです。


だんだん話が難しくなってきましたが、私の目的と照らしあわせて結論を述べれば、「発芽させたいのであれば、青色は照射せず、赤色(波長660nm)だけ照射しとけ」ということなのです。重要な事は、青色は不要なのではなく、存在してはいけないものなのです。


ですので、先の赤青照射装置はダメなのです。青色LEDが入っていますので!


というわけで、自作赤色LEDパネルの登場です!普通のLEDではなく、波長660nmにビッタシの特殊LEDです。LED自体は秋葉原で売っています。青色は入っていません。12V駆動。

温室に照射して発芽を誘導いたします。写真では手でかざしていますが、この後、温室内に固定し、長時間置いておくことにします。


さーて、2週間後どうなっているでしょうか。





あとツイッターの情報を元に、残っていた胞子でもう一箱作りました。

タッパーに鉢底網。

バーミキュライト。

ちょこっと腰水でアクリルの蓋。今度は常温です。室内の冬ですので8度ぐらいでしょうか。

660nm赤色LED装置で8時間ぐらい照射。

外観。どうなることやら。(LED装置は別の温室で使うので8時間後に撤去。)


さてさてどうなることやらです。


最後に、ビカクシダ胞子培養に関してツイッターにて大変貴重な情報をいただきましたので、転載させていただきます。私の記事よりはるかに重要な情報です!本当にありがとうございます!


  • 湯気充満させた風呂場で、タッパーに撒いてひたすら放置でほぼ発芽する。2週間~1ヶ月ほど。
  • 中はバーミキュライトをタッパーの2/3ぐらいまで入れ、そこにハイポを薄ーく溶かした水を、バーミの2/3まで入れ、あとはしっかり蓋を閉めて一切開けない。発芽が確認出来たら開けて様子を見る程度。
  • 発芽したら1ヶ月に1、2回蓋を開ける程度。入れる水はただの水道水でも変わりなかった。前葉体が8ヶ月過ぎたあたりから胞子体が出る。出ないものは霧吹きして受精を促したら出る。
  • カビが発生した時はその箇所を取り除き、薄ーく溶いたベンレートをかけたら消える。あとは蓋を開けて乾かさないようにしてたら消えたり。
  • 冬は窓辺から少し離して室内越冬組の植物たちの照明が当たるような所に置く。最低で15℃ぐらい。あとは窓辺の明るい日影でひたすら放置。
  • 上記のやり方でビカクに関してはほぼ100%発芽。
色々やる前にこの情報欲しかったっす_| ̄|○ il||li


[参考文献]
  • Sugai,M.and Furuya,M.(1967)Photomorphogenesis in Pteris vittata I.Phytochrome mediated spore germination and blue light interaction.Plant and Cell Physiol.8:737-748
  • 菅井道三(1999)シダ配偶体の発生生物学 -日本における研究を中心にして- Plant Morphology11(1):32-41.
  • 菅井道三(1978) 光による発芽制御 -シダ胞子とレタス種子の場を中心として 化学と生物11/1,1-12
 
読んでいただきありがとうございます!実はブログランキングに参加しておりますので、ぜひ下のボタンをワンクリックお願い致しますっす!
にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

スーパーサボテンタイム管理者

2013年に知人宅にあった金鯱の美しさに一目惚れして、サボテン栽培を開始する。栽培場所はベランダとルーフバルコニー。好きなサボテンは海王丸。

シェアする

フォローする