金鯱(Echinocactus grusonii)は皆様ご存じかと思います。
サボテンの王様といわれるぐらい有名な種類ですね。私も大好きなサボテンです。
そういえば、私が初めて実生したサボテンも金鯱でした。

下の写真は我が家のもの(これは私が種をまいたものではなく、購入品)です。
この金鯱は室内栽培やフレーム栽培や露地栽培など、いろいろな道を我が家で歩んできたので、徒長した期間があったりしてちょっと不格好な縦長ですが、本来は真球に近いカッコいいサボテンです。
というわけで、この金鯱というサボテンの群生株ってみたことありますでしょうか。
・・・あんまりないですよね(たぶん)!
少なくともそこら辺の花屋さんやホームセンターでは見たことないような気がします。
下の写真は一昨年、岐阜は岐孝園様を見学させていただいたときの写真です。
当時の岐孝園様訪問の記事はこちら。

上の写真は見事な群生株ですね。
(群生株の言葉の定義は難しいところですが、とりあえずいっぱい子供がくっついているやつとします。)
私の経験と知見では、金鯱はかなり大きくならない限り(もしくは特別なモンスト種でない限り)、自然に子供を体に付けることはないように思います。感覚的には直径おおよそ数十センチ、期間的にはおおよそ十数年ぐらいですかね。
・・・
でも小さいうちから群生株にしたい!
ということで!
今回は金鯱の小さいうちから成長点をカットして、群生株になるのかを実験してみました。
いつもの被験者の皆さんこと、実生の金鯱たち(4個)。
成長点といいますか、本体の上のほうをスパッとカット。4個のうち2個には、断面にビーエー液剤(右下の瓶)を希釈して塗りました。上の写真ではハサミが写っていますが、カッターで切りました。
ビーエー液剤(BA液剤)とは、植物ホルモンの一種であるサイトカイニンと類似の作用を示すベンジルアミノプリンを主成分とする植物成長調整剤(子吹き促進剤)です(参考:ビーエー液剤│クミアイ化学工業株式会社)。
簡単に言うと、これを塗れば仔吹きが旺盛になる・・・らしいです。
あとは切断面を保護するためトップジンMペーストを塗布。別にダイセンでも石灰でも硫黄華でもベンレートでもダコニールなどでもよいかと思います。ちなみにラベルが立っているものがビーエー液剤が塗布されたものです。
切断してから数日後がこんな感じ。断面をテーパ状にカットするのを忘れたため、断面が凹んで水がたまる状態に(腐りやすくなるのでよろしくない)。ミスりましたね!というか水平カットよりも成長点をカッターでえぐるだけでよかったのかもしれません。
・・・そんなこんな冬を超えて半年後。
わーお!
やればできる子じゃないですか。
別角度。
実生で大きくなる時と違って仔株はなんかフッサフサです。
ちなみに、ビーエー液剤を塗布したものとしなかったものでは、現時点ではまったく違いはありませんでした。塗ろうが塗るまいが仔株を出してくれましたし、出る時期も一緒でした。
ビーエー液剤に関しては、特に塗らなくても子供が出たということは、成長点カット効果により、もしかしたら仔吹き効果が飽和しているのかもしれません。
また、もしかしたら断面ではなくアレオーレにヌリヌリすれば変わるのかもしれませんし、希釈率が悪かったのかもしれません。また塗る回数が少ないのかもしれませんし、塗る季節が悪かったのかもしれません。ここらへんの問題はいずれ検証したいと思います。(というか、ビーエー液剤の効果を調べるのであれば、成長点カットしていない普通の金鯱に塗るべきだったような気もします。相変わらず行き当たりばったりの実験ですね。)
まぁ、というわけで、今後どのような株になっていくのでしょうか。非常に楽しみです!