※本記事は、植物ド素人の管理人がWEBで調べた情報をまとめたものですので、完全に正確かどうかはわかりません。いつものとおり、その点はご了承下さい。
サボテンの接ぎ木ってよく見ますね。
例えばこんなの。
Gymnocalycium mihanovichii var. friedrichi cv.Hibotan(引用:CC)
これは、三角柱という成長の早いサボテンに、葉緑素を持たない成長の遅いサボテンを接いだ(合体させた)ものです。接木とは合体させることによって、下の成長の早いサボテン(台木)の根を利用して、上の成長の遅いサボテン(穂木)を育てる園芸テクニックです(厳密には成長速度だけではないのですが、とりあえずいいでしょう)。
サボテン以外にも、ユーフォルビアの接ぎ木なんかもホームセンターでよく見ますね。こんなやつ。
接木の参考までに本ブログの接木関連の記事(一部)は以下のとおりです。
さて、
この接木ってどんな多肉植物でもできるのでしょうか。
例えばエケベリアやハオルチアは接木できるのでしょうか。
あまり見たことないですよね。
※ここで言う接木とは、エケベリアなら台木も穂木もエケベリア属での接木を指すことにします。エケベリアをサボテンに接ぐというというようなものを今回は指しません(これはまた話が別になってきますので)。つまりは、成長の早いハオルチアに成長の遅いハオルチアを接げば、成長が早くなるのかという問題です。
・・・
結論から言えば、
エケベリアは「できる」。
ハオルチアは「ほとんでできない」らしいです。
理由は以下の通りです。
まずはハオルチアから。
ハオルチアがなぜ接木ができないかというと、ハオルチアは単子葉植物であるからです。
単子葉植物とは、わかりやすく言うと、種から芽が出るときに双葉じゃなくて、1枚の葉 (子葉) を出すものをいいます。
例えば、これ。
我が家で実生したアガベです。双葉じゃないですね。だからアガベは単子葉植物です。
ちなみにサボテンは以下のように双葉なので、双子葉植物となります。
ここからが重要です。
実はこの単子葉植物と双子葉植物ですが、種から出る葉の数以外にも違いがあります。
それは形成層(cambium)の有無です。
結論から言ってしまうと、単子葉植物の接木ができない理由は、単子葉植物が形成層を持たないためです。
詳しい形成層の説明につきましては、維管束形成層 – Wikipediaをご参照下さい。
厳密には正確ではないものの、とてもわかりやすく言うと、サボテンを輪切りにしたときに見えるあの輪っかです(あれは維管束では?という方がおられるかもしれませんが、輪っか自体は形成層というものです)。
形成層は側方分裂組織 (lateral meristem)のひとつで、茎などの内部に円筒状に存在し、器官の太さを増す成長を行う組織です。
そしてこの組織こそが、接木の際に新しい組織を形成する再生能力を有しているのです。
つまり形成層が茎のふたつのパーツをバインドするのを手助けしているのです。
よって、形成層を持たない単子葉植物は接木ができないのです。
逆に言うと、接木ができるのは形成層を有している双子葉植物なのです。
そんでエケベリアは双子葉植物ですから、接木ができるというわけです。
ちなみにそこら辺の多肉植物を単子葉植物と双子葉植物に分けると
- [単子葉植物(接ぎ木できない)]
アガベ、アロエ、ハオルチアなど
- [双子葉植物(接ぎ木ができる)]
サボテン、ユーフォルビア、エケベリア、クラッスラなど
です。
・・・
では、単子葉植物の接木は「絶対できない」のかと言われると、実はそうでもないようです(私も調べるまで知りませんでしたが)。
というのも海外のサイト(論文?)に下記のような文があったのでした(誤訳御免)。
Monocots have scattered vascular bundles and do not have a vascular cambium, which may be a requirement for successful graft formation. During leaf formation in monocots, major veins do not connect to each other as they do in eudicots, but instead run parallel in leaf and stem segments. The veins join where the stem segments connect to each other in a region called the internode. In one experiment monocot grafting only succeeded when performed at these internode regions, but showed a success rate of only 3%.
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単子葉植物は維管束が散在しており、接木を成功させる要件となりうる維管束形成層を持っていない。単子葉植物の葉の形成間にて、大きな葉脈は、真性双子葉植物にのように他の葉脈と繋がってはいないが、代わりに葉と茎節の中では平行に走っている。葉脈は茎節がお互いに繋がっている節間(internode)と呼ばれる場所で、結合する。ある実験では、単子葉植物の接木はこれらの節間の場合のみ成功した。しかしながら成功率は3%であった。
Plant grafting, Charles W. Melnyk, Elliot M. Meyerowitz – Science Direct
ぶっちゃけ、stem segments(茎節?) と stem(茎?) と internode(節間?)の違いがよくわからないのですが、とりあえず重要な事は、3%という相当低確率であれ、何らかの手段で成功することもあるようなのです。
これは「絶対成功しない」と天と地ほどの差があるわけです。
こりゃあすごいことです。
ということで、単子葉植物でも接木はできないこともないが、極めて難しいという感じでよいでしょうか。
というわけで、話がまとまったかどうかわかりませんが、いろいろな多肉植物で接木ができるということですから、機会があったらこの春いろいろ試してみたいですね!
ちなみに、ネットサーフィンしていて見つけたサボテン・ユーフォルビア以外の多肉植物の接木関連のことが書かれていたサイトです。
- 下のサイトは、金のなる木にホビットverと斑入りverを接いだというものです。
Grafting 3 Jade cultivars together
- 下記の論文は、カランコエ・ベニベンケイ(Kalanchoe blossfeldiana)をエケベリア(Echeveria harmsiiとEcheveria ‘pulvoliver’)の花芽に接いだという論文です(私のアブストの翻訳がいれば合っていれば)。
Flower Formation in the Short-day Plant Kalanchoë by Grafting with a Long-day and a Short-long-day Echeveria on JSTOR
- アローディアの接木
アローディア アスケンデンスの接ぎ木 | ブクブク植物記
- パキポディウムの接木
Grafting Pachypodiums – CactiGuide.com
いやーなかなかおもしろいですね!植物って!
参考文献:
- Why is grafting not possible in monocots – Lifeeasy Biology: Questions and Answers
- why is grafting not possible in monocots? | Yahoo Answers
- BotanyWEB | 分裂組織
- Plant grafting – Science Direct
- 4月2日 維管束の話 & 植物の脱皮 & フェロカクタスの新刺 – 姫路カクタスのサボテンブログ – Yahoo!ブログ
- 接ぎ木雑種
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